Memory Puzzle
「時音?かなただ。」
お父さんの声を聞いた瞬間、時音は安堵の息が漏れた。
「お父さん?あのね、どうしても話さないといけない事があるの。」
勇気を出して、告げた。
「どうした?」
お父さんは心配そうな声で聞いてくる。
「今日、買い物に行ったらある男の人に話しかけられた。時音って呼ばれて、生きてたか?とか秋くんはどうした?とか…。凄く怖かった。どうして自分のことを知ってるの?って。そう思ってたら、自分は私の父親だって。名刺を渡してきてどっか行っちゃった。」
お父さんは黙って聞いてくれた。
「実は時音の父親については知っていた。まだ、話すべきではないかと思っていた。時音のお母さんが亡くなられて、時音の父親から2人を育てていく自信が無いからと本格的にうちに預けられたんだ。明日、時音の父親と話し合おう。明日、帰って来なさい。」
お父さんは、多分嘘なく話してくれた。少しだけだけど…。

愛衣さん達が帰って来たら、明日帰ることを話そう。

「ありがとう。じゃあ、また明日。」
時音は、そう言って電話を切ると自分の部屋に入った。
< 100 / 202 >

この作品をシェア

pagetop