Memory Puzzle
どれくらいの時間が経っただろうか。
「時音?起きてる?ご飯食べよう?」
愛衣さんが声をかけてくれた時には、もう外は真っ暗だった。
リビングに行くと、もう晃さんとすばるくんはご飯を食べていた。時音も席に着き1口食べた。
「美味しい…。」
時音はポロポロと涙をこぼした。今日抱え込んだ不安が少しづつ溶けていくようだったからだ。
「時音?この家に来てから、良いことはほとんど無かったかも知れない。ごめんな。明日は、また辛いことになるかも知れないが私達はいつも時音の味方だから。安心しなさい。」
晃さんは、明日帰ることを、知っているようだった。
「うん」
時音は、涙を拭うと笑顔を返した。
すばるくんは、目線を下に落とし暗い表情をしていた。
ご飯を食べ終えお風呂に入ると、何故か凄くさっぱりとしていた。それはシャワーの水に紛れて流れた涙のせいだという事を時音は知らない。
そのさっぱりさを持って、布団に潜り込むと気持ちのいい寝息を立て始めた。明日が、地獄の始まりになるとは知らずに。
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