Memory Puzzle
それで会話が途絶えてしまった。きっと時音が隠してきた不安や苦しみが、隠し切れなくなったからなのかも知れない。さっきから晃さんが流しっぱなしにしている、ラジオのお天気情報と雨のバチバチと車を打ち付ける音だけが、車の中を響かせる。
「今日は、帰らずに向こうに泊まるか。」
晃さんが突然声を出した。
「どうして。」
すばるくんが突然のように返す。
「これからどんどん雨が酷くなるらしい。これじゃあ家に帰れるか分からん。今年は異常気象ばかりだ…。」
「そう。」
すばるくんの素っ気ない返事でまた静かになった。
時音は、外の景色を見ながらラジオの局が変わった事で県が変わった事が分かった。

あと2時間ぐらいでつくかな。

そんな事を考えながら、雨でビシャビシャの外の様子をボーっと見続けていた。
「ほらっ!」
「何!?」
その時、すばるくんがコンビニで売っているサンドイッチを投げてきた。
「呼びかけても無反応だったから買って来てやったよ。」
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