Memory Puzzle
どうやら、時音がボーっとしている間にコンビニに寄っていたらしい。すばるくんの肩や髪の毛がキラキラと光っている。
「あ、ありがとう。ごめんね。」
「あー良いんだよ。予定の時間に間に合いそうにないから、お昼はこれで我慢しろよ。」
「うん」
すばるくんはそう言うと自分のおにぎりを開け、パクッと食べていた。
「時音、ごめんねー!せっかくの泊まりだったのにちゃんとご飯作ったりとか、遊びにとか連れて行ったりとかしてあげられなくて。」
愛衣さんは車に乗り込むと、時音の方を向いて申し訳無さそうに謝った。
「いや、全然楽しかったよ。本当の家族ってこんな感じなんだなぁって、何となく懐かしかったよ。」
「そう、それなら良いんだけどね。」
愛衣さんは少しホッとしたような顔をすると前に向き直った。
「じゃあ、出るぞ。」
晃さんのひと言で車が動き始めた。
時音は、すばるくんが渡してくれたサンドイッチの袋を開け1口食べた。
そのサンドイッチの中身はタマゴで、噛むたびにタマゴのフワフワとした甘さが広がっていく。それは、すばるくんの隠れた優しさのようで時音はすごく嬉しくなった。
ふとすばるくんの方を見てみると、まだおにぎりを頬張っていた。頭にはまだキラキラとした水滴が残っていて、有り難さで胸が暖かくなった。
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