Memory Puzzle
「ありがとう。」
「なんか言った?」
時音の呟きは、すばるくんに届かなかったようだ。
「何でも無いよ。」
すばるくんの優しさに触れた時音は安心して眠気が襲って来るのを感じた。食べかけだったサンドイッチの最後の一口を食べ終え、うつらうつらと夢の世界に入って行った。

飛行機の中だった。
これから行く場所は、自分の全く知らない世界。だけど、とても希望のある場所。
そう思った。
そこにとても行きたいと思った。
隣にはお母さんも、お父さんも雪斗も居る。顔までははっきり見えないけれど、そうだと言う自信があった。とても幸せでだと感じた。
そんな時、
ゴトンッ

ビービービービービービービービービービービービービービービービー!

幸せな気分を打ち壊すかのように飛行機が落ちていく。
何もかもが怖く感じた。すべてが奪われる!

「ひゃっ!」
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