Memory Puzzle
目を覚ますとそこはすばるくんの家の車の中で、心の底からホッとした。
「大丈夫か?」
すばるくんが心配そうに声をかけてきた。
「ちょっと変な夢見ただけだから。」
時音はそう言って、いつの間にかかいていた変な汗を拭った。
外の景色を見てみると、いつもの見慣れた風景があった。

もう着くんだ。

頑張らないと。

そう心を奮い立たせて、唇をぎゅっと結んだ。
「着いたぞ。」
晃さんの一言で、車の中がピリッとした空気に変わった。外はまだ大粒の雨が降っている。車のドアを開け、傘もささずに「白波の家」の玄関に駆け込んだ。肩にのった雨粒を払うと、すばるくんが隣に立った。
「大丈夫か?」
「うん」
時音はドアノブに手をかけ、ひねった。それは、いつもより重たく感じる。
がちゃ
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