Memory Puzzle

「ほらっ！彼呼んでるから、行って来なさい！」
「行って来い！」
彩さんもかなたさんもニヤニヤしながら手放してくれた。秋くんは時音の手を引いてリビングを出る。出る瞬間、梨々花と美花が口パクで『ガンバレ！』と言ってるのが見えた。ガヤガヤと声が聞こえるリビングの扉を閉じ、秋くんを見つめる。
「何？」
「約束、覚えてる？」
時音の頭には？マークがいくつも浮かぶ。
「記憶が戻ったら、また告白したいっていう話。」
あぁ、それで呼び出したのかと腑に落ちた。
「覚えてるよ？」
「時音、日曜日から元の家に帰るだろ？これからはいつでも会えるわけじゃないし、時音はスマホ今持ってないから僕に連絡出来ないじゃん？だから、コレ持ってて。」
秋くんはそう言って、折りたたまれた紙を手渡してきた。開いて見ると電話番号とアドレスが書いてあった。
「秋くんの番号？」
「スマホのな。いつでも連絡してこいよ？」
秋くんはニコリと微笑むと、リビングの扉を開けた。
「話はそれだけ！さぁ、中にはいろう！」
エスコートしてくれる秋くんに続いて、皆の輪の中に入っていった。