Memory Puzzle
時音は、勇気を持って部屋を出て自分の部屋に向かった。そして、自分の服やコツコツ貯めていたお金などをかばんに詰める。いつの間にか持って来ていた、お母さんの日記も入れた。そして、時音は紙切れに「先輩に良いバイトを紹介してもらったので、先輩の家に泊まりながらバイトに行きます。」そう書いて、リビングの机の上に置いた。また、もう一枚紙を取り出し、「お父さんの話を聞いてあげて。」と書いて、雪斗の部屋の勉強机に置いた。
時音は、自分の部屋に戻り着替えてから荷物を持つと深呼吸した。
「もう嫌だから。私には、まだ出来ない。」
時音は、そう言ってから玄関に行き靴を履くと思い切って外に飛び出した。
時音が行こうとしている所は、ただ一つしか決まっていない。バスに乗り、タクシーに乗り、電車に乗り…。もういくつ乗り継いだかは、分からない。それでも、記憶をたどりながら進んでいく。

もし追い出されたら、それも私の運命。

時音の気持ちは座っていた。眠たい目を擦りながら、乗り過ごさないように気を付けて…。
そうしてやっと辿り着いた。時音は、パスワードを押しエレベーターに乗り、部屋の前にやって来る。いつぶりだろう?と思いながらドキドキとチャイムを鳴らす。それを聞いて出て来たすばるくんは、驚いた顔をしていた。
「な、何で?」
時音の泣き腫らした顔にも驚いたようだった。
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