Memory Puzzle
自分が覚えていない母を感じ、また胸がキュッと苦しくなる。

何で、記憶を無くしてしまった?

時音には分からなかった。その時、
「「ただいま〜!」」
という声が聞こえた。愛衣さんと晃さんの声だった。
時音は部屋から出て、帰ってきたばかりの愛衣さんと晃さんの目の前に立つ。
「お久しぶりです。今日は、いきなり来てしまってすみません。」
時音は、頭を下げた。いきなり来てしまった事に対して、時音は怒られるかもしれないと覚悟していた。だが、愛衣さんは優しく声をかけてくれた。
「すばるから連絡貰ったよ。とりあえず、座って話そうか。」
愛衣さんと晃さんの後ろをついてリビングに行く。途中ですばるくんが部屋から出て、流れに加わる。前みたいに席に着いてから、話は始まった。
「私達は時音と一緒に暮らす事は、全然迷惑じゃないし逆に嬉しいと思ってる。でも、時音は本当にそれでいいの?」
愛衣さんは時音の目をじっと見つめる。時音は首を縦に振り、お父さんとの間で起こった事をゆっくりと話した。
「私はお父さんとの記憶もなくて、お父さんの心を支えるほど私の心もしっかりしてない。この数カ月、私が居たせいで家族のコミュニケーションも崩してた。会話は全く無かった。本当に、勝手な事を言っているって分かってる。ほんとに…。」
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