Memory Puzzle

愛衣さんが温タオルを差し出している。
「良いの？」
時音が聞くと、「気持ちだけもらっとくわ。さぁ早く目を温めて。ぬるくなったら、冷蔵庫に入ってる冷たいタオルで冷やしてね。」とウインクをした。時音は、有りがたく受け取りソファーに行ってすばるくんの横に座った。
上を向いてタオルを乗せると、タオルの温もりが目の強張りをほぐしていった。気持ちが良すぎて、時音は眠けを感じる。

「おい。」
気づくと、すばるくんに寄り掛かって寝ていた様だった。何故かすばるくんの耳が赤い事に、時音は気付いた。
「ご、ごめん。耳、赤くない？」
時音が素直に疑問を口にすると、すばるくんは「赤くねーし。てか、時音が寄りかかってたから当たってたんだよ。」と言い、ぷいっとそっぽを向いた。
時音は訳が分からず肩をすくめると、タオルがぬるくなっていたので冷たいタオルを取りに行き目にかける。さっきまでの眠気が嘘のように、目がさっぱりするのを時音は感じた。野菜を冷たい水に浸けるとパリッとするのはこういうことかぁ〜。と時音は1人で納得をする。3ヶ月も主婦をしていた時音は、自然と食と関連づけてしまう様になった。
タオルを外すと、目の腫れがいくぶんか引いていた。
「じゃあ、会社行ってくるから。」