Memory Puzzle
時音は勇気を持って、中身を探し始めた。時音は、一つずつ取り出しては床に仕分けていく。手間のかかる作業を延々と繰り返し、用のあるものを見つけ出したのはしばらく時間が経ってからだった。
「ふ〜。」
自然と息が漏れた。時音は急いで外出用の服に着替え、バックを肩に斜めにかける。部屋にあった姿見を見て、時音はある物が無い事に気がついた。
「これが無いとね。」
時音はかばんから、遊園地で買ったイルカをバックに付け替えた。
「これで良し。」
時音は秋から貰ったクローバーのネックレスを揺らしながら、急いで部屋から出た。

愛衣さんが連れて来てくれた所は、電車で少し時間のかかる所のショッピングモールだった。あちこちから、お正月のテーマソングが聞こえていた。
「たまにはストレス発散しないとね〜!」
上機嫌の愛衣さんとキョロキョロとあたりを見回す時音は、1日買い物を楽しんだ。両手を買い物袋で一杯にして、近くにあったカフェに入る。
「今日買った靴、もう一回見せて!」
女子高生の様にはしゃぐ愛衣さんに、時音は靴を見せた。
「やっぱり時音に似合いそう!」
「お待たせしました。ブラックとミックスジュースです。」
笑顔で運んで来た店員にお礼を言いながら、時音はミックスジュースを一口飲んで話を切り出した。
< 143 / 202 >

この作品をシェア

pagetop