Memory Puzzle

「着いたよ。」
やや興奮気味の愛衣さんが指差したのは、マンションからさほど離れていない所にある神社だった。そこは、沢山の出店があり多くの人々が集っていた。拝殿の前にも、行列が出来ていたが晃さんは構わず並んだ。
「はぁ〜。」
手を温めようと、息を吹きかけるが全く効果が無いようだった。
「どれ位並ぶの？」
「今年は人多いから、30分位並ぶんじゃない。」
横にいるすばるくんは、他人事のように言う。
「今日は寒いから、出店に行って温かいもの食べてきていいよ？」
時音とすばるくんは、愛衣さんの提案にのり出店を回ってみたのだが…。
「多すぎ。」
「そうだね。」
出店は、焼き餅、ぜんざい、焼きそば、ラーメンなどなど。選びきれない程の種類だった。
「私は、雑煮食べたいな。」
「俺もそうしよう。」
雑煮を売っていたお店の隣は、大手ラーメン店だったのですんなりと注文する事ができた。
「あいよっ！熱いから気を付けてな！」
お金をすばるくんが払ってくれ、雑煮を手にすると固まっていた指がほぐれていくようだった。