Memory Puzzle
中村さんは、すばるくんの目をじっと見つめる。すばるくんが苦い顔をしながら、目を逸らさないようにしているのを時音は見ていた。
「言いましたが、何か?」
すばるくんが、わざと挑発的に言っているのが目にとれた。
「いやぁー、俺、思いついちゃったんだよなぁ〜。君、女優、してみない?」
時音は、目を見はった。まさか、そんな大きな事を言われるとは思ってもみなかったのだ。
「嫌です。」
時音は、きっぱりと断った。自分にそんな大きな事が、できるはずが無いと思ったから。だが、中村さんがそんな簡単に諦めるはずはなく、目を細めながら時音にこう言った。
「コレ、50万するんだけど、君払えるの?」
時音は、体を強張らせた。そんな大金を持っているはずがない。
「じゃあ、金曜日に名刺に書いてある住所に来てね?」
中村さんは、不敵に笑う。時音は、首を縦に降るしか無かった。
「ありがとう。俺は行くから。」
中村さんはそう言って、お金を置いてファミレスを出て行った。
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