Memory Puzzle
本当に、良い選択だったか?

また、その事を考えていた。
事務所へは、地下鉄やバスを乗り継ぎ、2時間もかかる大都会の中にあった。すばるくんの家のあたりも大きな街だが、そんな比ではない。事務所は、思っていたよりも清潔で、とても大きなビルだった。中に入ると、人が沢山行き交っていて、とても忙しない雰囲気だった。時音は、どうするか迷った。受付まですぐ近くなのに、足がすくんで動かない。でも、行かなければいけない。その時、時音の腕がいきなり拘束される。
「いいか、行くぞ。」
すばるくんが腕を掴んでいたのだ。だが、何か言おうとした時には、もうすでに受付の前だった。時音は、ほっと胸を撫で下ろす。もう一度周りを見回すと、さっき思ったほど、人は混み合っていなかった。緊張のせいで、全く周りが見えていなかったようだった。
「この人と合う約束をしてるんですけど…。」
時音は、名刺を受付嬢に見せる。お名前は?と聞かれ本名を名乗った。受付嬢はすぐに内線で連絡を取ってくれ、もう直に来ると教えてくれた。
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