Memory Puzzle

記憶

エントリーをしてから、2ヶ月が経った。だが、中村さんからは連絡はまだ無い。
「やっぱり騙されたのかなぁ〜。」
最近ではこう思うようになっていた。すばるくんは全然知らん顔で、時音の独り言を完璧に無いものとして扱っている。
「でも、あのビル凄かったし。」
「てか、住所書いてるからもうそろそろお金騙しに来てもおかしくない頃だし…。」
「愛衣さんにまた迷惑かけるじゃん…。」
時音の独り言も尽きてきた、その時だった。突然電話が鳴ったのは。
すばるくんが出てしばらく話していたが、時音に変わるように言った。
「はい?」
「白波か?俺だ。中村だ。」
白波、という言葉に一瞬キョトンとした時音だったが、あぁ、ついに騙されるのか…。と呆然とした。
「明日、〇〇市にある××ビルに8時に来い。3次審査がある会場だ。あと、噂によればフリーエチュードがあるらしいから、練習して来い。じゃあ切るぞ。」
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