Memory Puzzle

「すばるくん、謝らなきゃいけないのは私の方だよ。迷惑をかけてばっかり…。ごめん…。」
時音の目から涙が零れ落ちた。
「泣くなよ。」
すばるくんはそう言って、時音の涙を拭った。
「フリーエチュード、練習するぞ。」
「あのさ、フリーエチュードって何？」
時音は、ずっと抱いていた疑問を投げかけた。まだ涙は止まらないけれど、ゆっくりとした口調で。
「即効劇。設定は決まっているが、台詞は決まっていないんだ。その場に応じた演技をする。」
「そうなんだ。でも、どうやって練習するの？」
「俺がお題を出すから、演技をしろ。じゃあ始めるぞ。恋人がデートに遅れて来た場面。」
「えっ。お、遅いよ！な、何でこんなに遅れたの？！も、もう知らないから〜！」
「たどたどしい。もっと普通に出来ないのかよ…。次は、愛犬が失踪して戻って来た場面。」