Memory Puzzle
時音は言われるまま用紙にサインをし、お姉さんに恐る恐る手渡した。
「受験者以外は1階のエントラスホールでお待ちください。あと、これを付けてください。」
お姉さんは機械的に言うと、資料の束を持って第1研修室に姿を消した。どうやら時音が最後だったらしい。手渡されたのは10と書かれたバッジだった。
「いつものように、振る舞えばいいから。」
中村さんにそう言われ、次にすばるくんを見たがそっぽを向いただけだった。
「行ってくるね。」
それだけ言い、時音もソファーに座った。時計を見ると、8時になったところだった。その時、第1研修室から受付の女の人が出てきた。
「これから、3次審査を始めます。1番から5番の人は入って下さい。」
呼ばれた人が、ゾロゾロと部屋に入って行った。
「ねぇ、あなた初めて?」
そんな声が聞こえ、時音は振り向いた。そこには、どこかで見た事があるような大人っぽい少女がいた。
「そうだけど…。あなたは?」
「私は、結構あるかなぁ。今回の映画、ダブルヒロインだから少しでもチャンスがあるからね。」
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