Memory Puzzle
彼女の手には11と書かれたバッジが握られていた。時音は、アレ?と思う。じっと見過ぎたのだろうか。彼女は、あぁコレ?と話す。
「私ね、依頼されたんだ〜。結局、オーディション受けなきゃ駄目だけど、少しでも映画に出たかったんだよね。」
なんて、ウインクしてきた。どこまで完璧な彼女なのか?と時音は疑問に思った。
「って事は、女優さん?」
「うん。まぁ、一応。でも、まだまだ。だから、チャンスは逃したくない。」
その話を聞いて、時音は唇を噛んだ。沈黙の時間が流れる。
「受かると良いですね。」
「なんか、自分は無関係って感じだね?あなたも受験者なのに。」
そう言って彼女は天井を仰いだ。
「あーあ!凄く緊張してきた。ごめんね、話しかけて。」
「全然!また話しかけて下さい!」
その時、第1研修室の中から先に受けていた人が出てきた。
「5から11のバッジの人は入って下さい。」
あの受付の人がそう言ったので、時音はバッジを胸につけ研修室に入った。
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