Memory Puzzle
「2人で話したいな。」
そう言われて、私は首を縦に振った。すばるくん達から少し離れた所に、座り直すと、陽菜さんはコーンスープの缶を渡してくれた。いいの?と私は目を向ける。
「朝ごはん、食べてないんでしょ?スープ飲んだら、落ち着くから飲んで。」
私は、受け取りスープを口に運んだ。冷え切っていた体が、温もりに包まれていく。
「白波さんって本名?」
私は唐突に聞かれ、どう答えていいか分からなくなった。でも、ずっと親切にしてくれている陽菜さんには、話してもいいかなって思う。しっかりと話せる様に、深呼吸をする。
「違うよ。だけどね、本名だった時もある。記憶を無くして、名前もわからなかった時にこの名前だった。白波は、親を無くした子供を受け入れる施設で、仮に貰ったもの。鈴音は、記憶がなくなった時にぱっと浮かんだ名前。でも、今考えてみたら、死んじゃったお母さんの名前。」
隣で陽菜さんが息を呑むのが分かった。やっぱり重い話だったのかもしれない。
「そうだったんだ。変なこと聞いてごめんね。」
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