Memory Puzzle
振り返ると、マネージャーの千佳さんが走って来た。
「白波さんって呼ぶのやめてよー。あと敬語もね。もう、そんなに時間無いの?」
「すみません…。アチラから早めに来るようにと。」
「分かった。行こうか。」
「車はあちらです。」
私は千佳さんの後ろを付いて行き、車に乗り込んだ。
「どれくらいで着く?」
「高速で、1時間ほど。」
私は、目をつむった。
あれから約1年半経った。受かってから、心の整理もつかないまま撮影が始まった。もう数え切れないくらい撮り直しをしたし、頭を下げて来た。だからこんな事になって、私は複雑な気持ちだ。
「白波さん!白波さん!起きて下さい!」
「…何?」
「着きましたよ。」
「ごめん。寝落ちしてた。」
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