Memory Puzzle
 俺は母さん方のおばあちゃんの家に預けられた。両親は、あれから子供を作ることにしたらしい。俺じゃ会社を継がせられないと言って。正直、全てを忘れてた俺はあまり苦痛を感じていなかった。それでも、親に見捨てられた、という自覚はあって…。
「ゆっくりでええよ?無理したらあかん。」
思い出そうと焦る俺を、おばあちゃんはそうさとしてくれた。過呼吸を起こし、この歳になって喘息を起こし
、てのかかる事が多かったと思う。それでも、親は俺に会いに来なかった。
「プール行こうか。」
ある日突然、おばあちゃんはそう言った。
「嫌。」
即答した。気づかぬうちに。でも、おばあちゃんは引かなかった。
「おばあちゃんに水泳教えてくれへん?健康のために始めたいんや。あんたも、おばあちゃんに長生きしてほしいやろ?」
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