Memory Puzzle
「時音です。よろしく!」
時音は、緊張しながら自己紹介した。
「すばる、僕は校長先生に話があるから、時音に学校を案内してやってくれないか?」

えっ!?こいつと2人きり!?

時音は、動揺した。だってすばるくんはからは、怖い印象も受け取っていたから…。
「はっ?俺、練習があるんだけど?」
「家族になるかもしれないんだぞ。それぐらいはしなさい。」
すばるくんはあからさまに嫌な顔をした。それは、きっと当たり前の事だと思う。誰も出会ったばかりの、しかも家族になるかも、なんて言われた相手を快くは思わない。
優しかった晃さんの顔が厳しくなった。
「ハァ。」
すばるくんは、大きなため息をつくと顧問の先生らしき人の所に走って行った。
「あの、学校案内しなくちゃいけなくなったんで、練習抜けて良いですか?」
すばるくんの顔は、ダメって言ってくれ!と言っている。だが、いかにも脳内筋肉な先生はそんなことには気づかない。
「良いぞ!せっかくだから今日は、戻って来なくて良いぞ!しっかりあの娘と話せ!」
ハッハッハ!と笑う顧問の先生らしき人。やっぱり、空気が読めてない。
その先生を背に、すばるくんはうんざりという顔で戻ってきた。
「着替えてくるからそこで待ってろ。」
そう言うと、1人で行ってしまった。
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