Memory Puzzle
「ゲームとかわかんないからなぁ。アッ!これ何!」
時音が見つけたのは“クレーンゲーム”だった。
「コレ可愛い〜!でも、どうやって取るの?」
ゲームセンターに行った事のない、いや、その記憶がない時音にとってはクレーンゲームのルールは皆無だったのだ。
「俺が取ってやるから。待ってろ、時音。」

えっ。今時音って言った?

時音の動揺を知らないすばるくんは、クレーンゲームに500円入れゲームを始めた。
可愛らしい音楽が流れる中、それには不釣り合いなくらい真面目な顔でゲームをするすばるくんに時音はドキドキとしていた。

まさか、ね…。そんなはずはないよ…。

時音はその気持ちを追い払うように首を振った。
「取れた…。」
すばるくんがボソっと呟く。ふぅ、とすばるくんが息を吐いてるのが時音には見えた。

私の為に頑張ってくれたんだ。
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