Memory Puzzle

「ねぇすばるくん。私、これ作ったんだよね?」
「あぁ!だから何回聞くんだよ…。」
「色々混乱して、覚えてなくて。」
時音が作ったハンバーグを食べながら、さっきからその話ばかりしている。
「このハンバーグ、記憶を失ってから作ってないんだよな?」
突然、すばるくんがそんな事を聞いてきた。
「うん、そうだけど?」
当たり前でしょ?というふうに時音が言うと、さらにすばるくんは続けた。
「料理の記憶は失ってないって事は、外傷による記憶喪失では無いのか…。時音、その記憶喪失いつか治るかもしれないぞ?確信はないけど。」
すばるくんは、びっくりした事を言ってきた。
「ほんとに?」
時音は疑わしそうに聞いた。
「消したい記憶は消して、他は残っている。そういう事のように思うんだ。勉強の事だって、料理の事だって忘れてないだろ?俺は外傷による記憶喪失だったから、すべて忘れてしまっていた。時音は、記憶のかけらを少しでも持っている。だから、思い出す可能性はあると思う。」
時音は、すばるくんの言葉に驚きを隠せなかった。
「じゃあ、お父さんの事も施設に言ったほうが良いのかな?」
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