恋をするならきみがいい。

笹原大智(ささはらたいち)とは小学校からずっと一緒で、いわゆる男友達のひとりだった。

笹原はいつもクラスのムードメーカーみたいな存在で女子からの人気は絶大的。

明るくて優しくて、笹原は太陽みたいな人だから私も密かに恋心を抱いていた。


でも笹原はみんなのものだっていう暗黙のルールがあって、抜け駆けする人はいなかった。

そんな中で中学生になっても笹原はモテモテで、どこを歩いてもみんなが声をかける。


抜け駆けなんてしない。

廊下ですれ違って「おー小野寺」なんて声をかけてくれたり、ふざけて髪の毛をぐちゃぐちゃにされて「チビだなあ」とからかわれても、

胸にある想いを決して口に出したりはしなかった。


ずっと友達でも大勢の中のひとりでも別にいい。笹原とこうして繋がっていられるだけで。

それなのに変わってしまったのは笹原のほう。