これを愛と呼ばぬなら


 変化は、突然訪れた。


 翌日も、そのまた翌日も、悠祐くんの送り迎えにやって来たのは、お母さんではなくお父さんだった。

 はじめの二、三日は、ちょうど季節の変わり目で誰もが体調を崩しやすい季節だし、お母さんもなかなか体調が戻らないんだろうな、ぐらいにしか考えていなかった。それが、その週は結局、すべての送迎をお父さんがした。こんなこと、悠祐くんが入園して以来初めてだ。

 翌週になっても顔を出さないお母さんのことを案じて、私は藤見さんに声をかけてみることにした。


「あの、藤見さん。奥様はまだ体調がお悪いんですか?」

 仕事でどうしても遅くなってしまうのだろう。今日も藤見さんのお迎えは、閉園時刻ギリギリだった。ようやく家に帰れるのが嬉しいのか、悠祐くんは先に一人で靴箱まで行っている。

「いえ、もうすっかり良くなりました。ご心配おかけしてすみません」


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