これを愛と呼ばぬなら
昨日まで着ていた空色のコートは、実は鈴木先生の見立てだ。いつもダークカラーの服ばかり着ている私を見かねて、少し前に、彼女にショッピングに引っ張り出されたのだ。
私が「今まで寒色系の服ばかり着ていたのにいきなりカラフルな服を着るのは抵抗がある」と言うと、彼女は「それならまずはコートだけでも」と渋々ながらも妥協してくれた。
「昨日の雨で濡らしちゃって……。シミになっても嫌だから、朝からクリーニングに出して来たの」
「なんだ、やっぱり明るい服は嫌になったってわけじゃないのね? じゃあ戻って来たらまたあれ着てよね!」
「はいはい、わかりました」
思わず苦笑いをすると、鈴木先生は「もうっ」と唇を尖らせた。
「潮月先生せっかく美人なんだからさ、もっと可愛い服着たりして自分を可愛がりなよ。仕事に一生懸命なのはいいけど、人生もっと楽しまなくちゃ損だよ」
「そうだね……」
覇気のない返事をする私に、鈴木先生はやれやれと肩を竦める。早番の先生と子どもたちの受け入れを代わるために、二人一緒に更衣室を出た。
私が「今まで寒色系の服ばかり着ていたのにいきなりカラフルな服を着るのは抵抗がある」と言うと、彼女は「それならまずはコートだけでも」と渋々ながらも妥協してくれた。
「昨日の雨で濡らしちゃって……。シミになっても嫌だから、朝からクリーニングに出して来たの」
「なんだ、やっぱり明るい服は嫌になったってわけじゃないのね? じゃあ戻って来たらまたあれ着てよね!」
「はいはい、わかりました」
思わず苦笑いをすると、鈴木先生は「もうっ」と唇を尖らせた。
「潮月先生せっかく美人なんだからさ、もっと可愛い服着たりして自分を可愛がりなよ。仕事に一生懸命なのはいいけど、人生もっと楽しまなくちゃ損だよ」
「そうだね……」
覇気のない返事をする私に、鈴木先生はやれやれと肩を竦める。早番の先生と子どもたちの受け入れを代わるために、二人一緒に更衣室を出た。