【短】恋愛ピュアリズム
そうこうしてる内に、私は家の近くまで帰って来た。
すると、尚斗の家の前で尚斗が誰かを抱き締めているのを見掛けてしまった。
「……っ」
それは、尚斗の元カノだった。
私は急いで家の中に入り込む。
ズキズキする、こめかみ。
カラカラに渇いていく喉元。
浅くなる呼吸。
ぎゅーっと胸が苦しくなって、さっきとまた違う涙が頬を伝う。
元カノを抱きしめてるって事は…寄りが戻ったって事。
そしたら、尚斗は他の誰も見なくなる。
きっと、最初から対象者じゃない私の事も…。
「苦しいよ…っ」
私はその日、一晩中泣いて、泣いて泣きまくって、尚斗への恋心を壊していった…。