心の奥でずっと君を探してる
再会
「優羽ー(ゆう)、悟先輩(さとる)、こっちこっち。」
叫んでるのは桜庭未菜(さくらばみな)だ。
専門学校で出会って性格も趣味も何も私とは全く違う。
色々あって仲良くなった。
その色々に私は悩まされていてそこから私を助けてくれた子だ。
感謝してもしきれない。
「あれ?未菜だけじゃん!」
それで今私の隣にいるのはバイト先で仲良くなった4歳年上の先輩の田中悟(たなかさとる)先輩。
未菜と悟先輩は偶然にも同じ中学出身てま三人で会うようになった。
「ねぇ、会わせたいっていってた人は?」
「うん、もうすぐ来るよー!」
「ねぇ、もう誰なのか教えてくれてもいいんじゃない?」
「どーせ、またすぐ別れるような彼氏だろ。何で急に俺たちに会わせるんだよ。」
不満そうに悟先輩はため息をつく。
「そんなこと言わないでよー。
今度は私から別れることはないと思う。絶対に。
だってこの人と出会えたことは運命だもん。」
目をキラキラ輝かせている未菜を見て、
今度は私が大きくため息をついた。
「今度はって何回聞いたことか。しかも運命ってそんな言葉を冗談以外で聞いたの久しぶりだわ。」
「優羽までそういうこと言うのーー。」
未菜がブスくれる。
「じゃあ、どんな運命なのか話してみ?
内容によっては帰るかも知れんけど、、笑」
「うー、、。優羽の意地悪。まぁ話すけど。
その人ね、合コンで出会ったんだけどね、、、」
「え!合コン?そっからもうすでに運命っぽくないんだけど。」
「悟先輩は黙って話を聞いてよー。」
「はいはい。」
「合コンって言ってもさ、優羽あの日だよ。優羽が一生に一度記念に行ってみるって言ってたくせに途中で急用ができて私が代わりに言った日の合コン。」
「あー、あの日に出会ったんだ。じゃあ、私のおかげだね。」
あの日は同じ高校の子に急に会えないかって聞かれて、用事があるって答えたら
来たらあいつがいるよって言われて思わず行ってしまった日だった。
まぁ、それは嘘だったんだけどね。
あの日の事を思い出すと心が痛む。
「ほんとだよー。ありがとうございます。」
「いえいえ。じゃあ、今度駅地下のアップルパイ専門店でおごってくれてもいいよ。」
「もう、優羽はいつもそうなんだから。っと話それちゃったけど、それでねそこで彼と出会ったんだけどね。彼も友達が急用が、できちゃってお願いされてしょうがなく合コンに参加したんだって。運命じゃない?」
「運命というよりも、たまた、、、。」
「いいの、運命ってことで。それよりもその彼今まで付き合ったこともないらしいんだ。」
私が話すのをさえぎって未菜はそう言った。
「え、そいつ何歳なの?顔かっこいいって言ってたよね?なんか性格とかの方で問題が、あるんじゃないの?」
悟先輩が心配そうな顔をする。
悟先輩は多分未菜の事が好きなんだと思う。
未菜は全然気づいてないし、悟先輩はきっと隠し通すつもりだ。
だから、私は何も言える立場じゃないしこの関係を壊すのは嫌だなと思ってしまう自分もいる。
でも、時々悟先輩の気持ちを考えると胸がきゅーっとする。
「同い年だよ。彼ねずーっと忘れられない人がいたんだって。でも、私と会ってやっとその人のことを忘れかけはじめててまた他の誰かを好きになれるかもしれないって言ってたの。すっごく純粋な人だと思わない?」
目がキラキラしてる。
恋してる未菜はほんとにかわいい。
いいなって思ってしまう。
私はもう何年も本当の恋をしてない。
好きになってくれた人を好きだと思って私もその人のことをすきになるんだと思っていた。
そうしたらその時に自分の何かが変わるような気がしていた。
でも、変わることはなくて相手への申し訳ない気持ちでいっぱいになってその人と話すことさえ嫌になる。
本当の恋のしかたとかそういう好きって言う感情そのものがもう分からなくなってしまった。
「かもしれないって事はまだそいつはお前の事完全に好きではないってこと?」
悟先輩は心配そうに聞いた。
「わかんない。」
未菜は下を見ながら少し悲しそうに笑った。
「わかんないってなんだよ。そんなんで付き合ってていいのかよ?」
悟先輩の眉にしわができる。
「彼の気持ちは分かんないけど、でも、私の気持ちは分かる。なんかね、すっごく大好きなの。側にいたいの。どーしよー。はじめてなんだけど、こんな気持ち。」
「、、、、。」
今までに無いぐらい真剣な未菜に思わず何も言えなくなってしまった。
「って、誰だよって感じだよね。らしくないよね、こんなの。うわー恥ずかしい。」
顔を真っ赤にしながら笑う。
「ほんとにらしくない、、、けど、そんなに未菜をらしくなくさせるほどその人が素敵な人っていうことだけは分かった。うちはそんな未菜の事もかわいーなって思うよ。」
でれっとした顔で恥ずかしそうに未菜は笑った。
「でも、かぎりなく心配だけどね。まぁそれでも今の未菜の話を聞いて応援したいと思つたよ。まぁ、もしもの時があれば無いと思うけど、うちと悟先輩でその人ボコボコにする準備はしとくから。」
悟先輩も首を何度も縦に振り、手をグーにして殴る素振りを真似て笑う。
「もう二人とも大好きだよー。」
未菜が泣き真似をして、皆で笑う。
「はいはい、ごめん、ちょっと飲み物取ってくるね。悟先輩も何かとってこよーか?」
なんか照れ臭くなってきた私はそういいながら席を離れることにした。
「あー、じゃあ、カフェオレ頼む。一人で大丈夫?」
と私を小さい子に言うみたいににやっと笑いながら言う。
「もう、小さい子扱いしないでください。一人で行けます。」
「そう言う風に、すぐむきになるところがガキなんだよなー、優羽は。」
「もう、いーです。行ってきます。」
「よろしくな。」
ほんとに先輩は私の事を何歳だと思って話しかけてるんだろう。
私は心のなかで悟先輩に対して悪態をつきながらドリンクコーナーに向かった。
この日が私の人生がまた大きく変わる日だなんてこの時はまだ気づきもしなかった。
ドリンクコーナーにつくと背が高い男の人がいた。
その人をみたとき、懐かしいような空気感のある人だなぁ思った。
そして、何でそう思ったかはっきりとした根拠は無いけどあの人のような気がした。
ずーっと会ってないし背だってあの時と全然違うのになぜだかあの人に見えて仕方がなかった。
くるっと方向転換をして違うところに隠れた。
けどやっぱり気になって気になって仕方が無くて、もう一度ドリンクコーナーに向かった。
あの人じゃないかもしれないし、あの人だとしたらそろそろ私の心を整理するためにも話しかけるべきだと思う。
ドリンクをどれにしようか悩んでいるようなふりをして悶々と一人考えながら多分10分ぐらいそこにいた。
いや、もっといたかもしれない。
でも相手もどこにも行く気配は無くずーっとドリンクコーナーをジーっと見ていた。
「優羽ー?まだー?」
悟先輩が心配してこっちに来てくれてあの人の真後ろにたって私に話しかけてきた。
私は恐る恐る先輩の方を見る。
でも、どうしてもあの人の事を先輩の横にいるのに見る勇気が無くて先輩だけをみながら答えた。
「ごめん!めっちゃ悩んでて。」
「ジュースでそれだけ悩めるってすごいな。てか、おかわりすればいいだろ。」
「うん、ごめん。」
「あやまらなくてもええけど。じゃあ、ゆっくり選びな。俺、自分の分だけ持って席に戻るわ。」
と言って先に戻っていった。
そろそろ私も戻らんと変な風に思われるかな?
と思いゆっくりゆっくりあの人に近づいていって後ろからあたかもあなたの前にあるドリンクの機械を見たいんだという雰囲気を出すと、
あの人は気づいてそっと後ろに下がって私を前にいれてくれた。
ほんとは顔を見たいのに怖くて見れなくて顔も見ずに会釈だけして前に出た。
「、、ねぇ、今どこの学校に通ってるの?」
後ろから声が聞こえて驚いて振り返ると
やっぱり又葉だった。
又葉だとしてもまさか向こうから話しかけてくるとは思わなかったから心臓の音が異常なくらい大きな音を立てて異常なスピードでなっていた。
「あ、えっと、え、わーびっくりしたー。」
私は動揺して又葉が質問したことにも答えず
思ったことがそのまま口から出ていた。
「久しぶり。」
昔より声が低くて少し微笑みながら言う声に心臓が高鳴る。
「あ、久しぶり。ほんとにびっくりした。声とかすっごく変わってるから。」
今、私どんな顔をしてるんだろう。
「うん、声変わりしました。優羽はなんか、うん、変わんないね。中学の時から。」
「よく言われるよ。ちゃんと成長してるはずなのになー。」
「いいと思うよ。変わらないのも。なんか安心する。」
「ほんと?良かった、、のかな?」
「うん、」
下を向いて静かに微笑んでから、少し沈黙してから
「あ、そういえば、どこの学校通ってるの?」
そうだ、質問に答えてなかったんだ。
頭が真っ白でよく分かんなくなってくる。
「あー、ここら辺の専門学校だよ。そっちは?」
「俺は川澄大学って所。」
「へぇー、じゃあ結構近くにいたんだね。」
「ね。」
「、、、、。」
また少しさっきより長めの沈黙が続いた。
そんな沈黙のせいで心臓の音が聞こえてしまいそうで、声を出したいけど緊張で裏返ってしまいそうで何も言い出せずにいると
話だしたのは彼だった。
「彼氏おるん?」
まさかそんなことを聞いてくるとは思ってもみかなかった。
「いないよ。そっちは?」
「んー、まぁ、うん。おるよ。」
一瞬息の仕方を忘れたように息ができなくなるような感じがした。
そうだよね。
私、なんか期待していたのかもしれない。
また、ここから何かがはじまるんじゃないかと思っていたのかもしれない。
馬鹿だな。私が新しい出会いをたくさん繰り返していたように又葉だって又葉の生活が私の知らないところで行われていて、
あの時とはもう違うんだ。
みんな前に進んでるんだ。
立ち止まってたのは私だけだったんだ。
「へぇー、そうなんだ。いいね。羨ましいなー。なんだろ、うちはガキっぽいから出来んのかな。彼氏いそうってモテそうって言われるんだけどなー。」
うわー、なんか口から勝手に言葉が出てくるよー。
しかも、彼氏おらんくせに自慢みたいな自意識過剰なこと言っちゃった。
笑ってくれてるけどドン引きだよね。
なんだか、いたたまれない気持ちになって、
「じゃあ、ばいばい。」
と手を振ると向こうもにこっと笑って。
「うん、ばいばい。」
と言ってくれた。
私はそれを聞いてから逃げるように戻っていった。
後ろをちらっと振り返るとまだ又葉はこっちを見ていて、びっくりして前に向き直してはや歩きになる。
「遅かったね。あれ?コップとストローだけ?飲み物は?」
席に戻ると未菜が私の手元を見て不思議そうに首をかしげる。
慌てすぎて飲み物をいれてくるのを忘れてしまったんだ。
すごい恥ずかしい人だ。
「あー、なんか飲みたい気分じゃ無くなったから後でまた取りに行くよ。」
「なんじゃそりゃ。まぁ優羽らしいけど。」
と言って笑うのは悟先輩だ。
こんなんで私らしいと言われる私っていったいなんなんだろうと思ってしまう。
そして、さっきあったことが頭によぎる。
あー、だめだめ。忘れよう。
あの時の願いも叶ったことだし、、、。
「あ、来たよ!」
自分の世界に入っていたところを未菜の明るい声によって現実の世界に戻される。
未菜が指をさす方を見た。
一瞬、ほんとに一瞬
周りの音がまったく聞こえなくなった。
時間の動きがスローモーションのように感じて、
彼の足音だけがやけに耳に響く。
う、、、そでしょ?
私の目線の先では、、、さっき会ったばかりの又葉がいた。
そして未菜を見て微笑みながら手を振る君に
動揺してる自分に動揺した。
う、、そだよね?
彼女って未菜?
彼氏って又葉のこと?
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叫んでるのは桜庭未菜(さくらばみな)だ。
専門学校で出会って性格も趣味も何も私とは全く違う。
色々あって仲良くなった。
その色々に私は悩まされていてそこから私を助けてくれた子だ。
感謝してもしきれない。
「あれ?未菜だけじゃん!」
それで今私の隣にいるのはバイト先で仲良くなった4歳年上の先輩の田中悟(たなかさとる)先輩。
未菜と悟先輩は偶然にも同じ中学出身てま三人で会うようになった。
「ねぇ、会わせたいっていってた人は?」
「うん、もうすぐ来るよー!」
「ねぇ、もう誰なのか教えてくれてもいいんじゃない?」
「どーせ、またすぐ別れるような彼氏だろ。何で急に俺たちに会わせるんだよ。」
不満そうに悟先輩はため息をつく。
「そんなこと言わないでよー。
今度は私から別れることはないと思う。絶対に。
だってこの人と出会えたことは運命だもん。」
目をキラキラ輝かせている未菜を見て、
今度は私が大きくため息をついた。
「今度はって何回聞いたことか。しかも運命ってそんな言葉を冗談以外で聞いたの久しぶりだわ。」
「優羽までそういうこと言うのーー。」
未菜がブスくれる。
「じゃあ、どんな運命なのか話してみ?
内容によっては帰るかも知れんけど、、笑」
「うー、、。優羽の意地悪。まぁ話すけど。
その人ね、合コンで出会ったんだけどね、、、」
「え!合コン?そっからもうすでに運命っぽくないんだけど。」
「悟先輩は黙って話を聞いてよー。」
「はいはい。」
「合コンって言ってもさ、優羽あの日だよ。優羽が一生に一度記念に行ってみるって言ってたくせに途中で急用ができて私が代わりに言った日の合コン。」
「あー、あの日に出会ったんだ。じゃあ、私のおかげだね。」
あの日は同じ高校の子に急に会えないかって聞かれて、用事があるって答えたら
来たらあいつがいるよって言われて思わず行ってしまった日だった。
まぁ、それは嘘だったんだけどね。
あの日の事を思い出すと心が痛む。
「ほんとだよー。ありがとうございます。」
「いえいえ。じゃあ、今度駅地下のアップルパイ専門店でおごってくれてもいいよ。」
「もう、優羽はいつもそうなんだから。っと話それちゃったけど、それでねそこで彼と出会ったんだけどね。彼も友達が急用が、できちゃってお願いされてしょうがなく合コンに参加したんだって。運命じゃない?」
「運命というよりも、たまた、、、。」
「いいの、運命ってことで。それよりもその彼今まで付き合ったこともないらしいんだ。」
私が話すのをさえぎって未菜はそう言った。
「え、そいつ何歳なの?顔かっこいいって言ってたよね?なんか性格とかの方で問題が、あるんじゃないの?」
悟先輩が心配そうな顔をする。
悟先輩は多分未菜の事が好きなんだと思う。
未菜は全然気づいてないし、悟先輩はきっと隠し通すつもりだ。
だから、私は何も言える立場じゃないしこの関係を壊すのは嫌だなと思ってしまう自分もいる。
でも、時々悟先輩の気持ちを考えると胸がきゅーっとする。
「同い年だよ。彼ねずーっと忘れられない人がいたんだって。でも、私と会ってやっとその人のことを忘れかけはじめててまた他の誰かを好きになれるかもしれないって言ってたの。すっごく純粋な人だと思わない?」
目がキラキラしてる。
恋してる未菜はほんとにかわいい。
いいなって思ってしまう。
私はもう何年も本当の恋をしてない。
好きになってくれた人を好きだと思って私もその人のことをすきになるんだと思っていた。
そうしたらその時に自分の何かが変わるような気がしていた。
でも、変わることはなくて相手への申し訳ない気持ちでいっぱいになってその人と話すことさえ嫌になる。
本当の恋のしかたとかそういう好きって言う感情そのものがもう分からなくなってしまった。
「かもしれないって事はまだそいつはお前の事完全に好きではないってこと?」
悟先輩は心配そうに聞いた。
「わかんない。」
未菜は下を見ながら少し悲しそうに笑った。
「わかんないってなんだよ。そんなんで付き合ってていいのかよ?」
悟先輩の眉にしわができる。
「彼の気持ちは分かんないけど、でも、私の気持ちは分かる。なんかね、すっごく大好きなの。側にいたいの。どーしよー。はじめてなんだけど、こんな気持ち。」
「、、、、。」
今までに無いぐらい真剣な未菜に思わず何も言えなくなってしまった。
「って、誰だよって感じだよね。らしくないよね、こんなの。うわー恥ずかしい。」
顔を真っ赤にしながら笑う。
「ほんとにらしくない、、、けど、そんなに未菜をらしくなくさせるほどその人が素敵な人っていうことだけは分かった。うちはそんな未菜の事もかわいーなって思うよ。」
でれっとした顔で恥ずかしそうに未菜は笑った。
「でも、かぎりなく心配だけどね。まぁそれでも今の未菜の話を聞いて応援したいと思つたよ。まぁ、もしもの時があれば無いと思うけど、うちと悟先輩でその人ボコボコにする準備はしとくから。」
悟先輩も首を何度も縦に振り、手をグーにして殴る素振りを真似て笑う。
「もう二人とも大好きだよー。」
未菜が泣き真似をして、皆で笑う。
「はいはい、ごめん、ちょっと飲み物取ってくるね。悟先輩も何かとってこよーか?」
なんか照れ臭くなってきた私はそういいながら席を離れることにした。
「あー、じゃあ、カフェオレ頼む。一人で大丈夫?」
と私を小さい子に言うみたいににやっと笑いながら言う。
「もう、小さい子扱いしないでください。一人で行けます。」
「そう言う風に、すぐむきになるところがガキなんだよなー、優羽は。」
「もう、いーです。行ってきます。」
「よろしくな。」
ほんとに先輩は私の事を何歳だと思って話しかけてるんだろう。
私は心のなかで悟先輩に対して悪態をつきながらドリンクコーナーに向かった。
この日が私の人生がまた大きく変わる日だなんてこの時はまだ気づきもしなかった。
ドリンクコーナーにつくと背が高い男の人がいた。
その人をみたとき、懐かしいような空気感のある人だなぁ思った。
そして、何でそう思ったかはっきりとした根拠は無いけどあの人のような気がした。
ずーっと会ってないし背だってあの時と全然違うのになぜだかあの人に見えて仕方がなかった。
くるっと方向転換をして違うところに隠れた。
けどやっぱり気になって気になって仕方が無くて、もう一度ドリンクコーナーに向かった。
あの人じゃないかもしれないし、あの人だとしたらそろそろ私の心を整理するためにも話しかけるべきだと思う。
ドリンクをどれにしようか悩んでいるようなふりをして悶々と一人考えながら多分10分ぐらいそこにいた。
いや、もっといたかもしれない。
でも相手もどこにも行く気配は無くずーっとドリンクコーナーをジーっと見ていた。
「優羽ー?まだー?」
悟先輩が心配してこっちに来てくれてあの人の真後ろにたって私に話しかけてきた。
私は恐る恐る先輩の方を見る。
でも、どうしてもあの人の事を先輩の横にいるのに見る勇気が無くて先輩だけをみながら答えた。
「ごめん!めっちゃ悩んでて。」
「ジュースでそれだけ悩めるってすごいな。てか、おかわりすればいいだろ。」
「うん、ごめん。」
「あやまらなくてもええけど。じゃあ、ゆっくり選びな。俺、自分の分だけ持って席に戻るわ。」
と言って先に戻っていった。
そろそろ私も戻らんと変な風に思われるかな?
と思いゆっくりゆっくりあの人に近づいていって後ろからあたかもあなたの前にあるドリンクの機械を見たいんだという雰囲気を出すと、
あの人は気づいてそっと後ろに下がって私を前にいれてくれた。
ほんとは顔を見たいのに怖くて見れなくて顔も見ずに会釈だけして前に出た。
「、、ねぇ、今どこの学校に通ってるの?」
後ろから声が聞こえて驚いて振り返ると
やっぱり又葉だった。
又葉だとしてもまさか向こうから話しかけてくるとは思わなかったから心臓の音が異常なくらい大きな音を立てて異常なスピードでなっていた。
「あ、えっと、え、わーびっくりしたー。」
私は動揺して又葉が質問したことにも答えず
思ったことがそのまま口から出ていた。
「久しぶり。」
昔より声が低くて少し微笑みながら言う声に心臓が高鳴る。
「あ、久しぶり。ほんとにびっくりした。声とかすっごく変わってるから。」
今、私どんな顔をしてるんだろう。
「うん、声変わりしました。優羽はなんか、うん、変わんないね。中学の時から。」
「よく言われるよ。ちゃんと成長してるはずなのになー。」
「いいと思うよ。変わらないのも。なんか安心する。」
「ほんと?良かった、、のかな?」
「うん、」
下を向いて静かに微笑んでから、少し沈黙してから
「あ、そういえば、どこの学校通ってるの?」
そうだ、質問に答えてなかったんだ。
頭が真っ白でよく分かんなくなってくる。
「あー、ここら辺の専門学校だよ。そっちは?」
「俺は川澄大学って所。」
「へぇー、じゃあ結構近くにいたんだね。」
「ね。」
「、、、、。」
また少しさっきより長めの沈黙が続いた。
そんな沈黙のせいで心臓の音が聞こえてしまいそうで、声を出したいけど緊張で裏返ってしまいそうで何も言い出せずにいると
話だしたのは彼だった。
「彼氏おるん?」
まさかそんなことを聞いてくるとは思ってもみかなかった。
「いないよ。そっちは?」
「んー、まぁ、うん。おるよ。」
一瞬息の仕方を忘れたように息ができなくなるような感じがした。
そうだよね。
私、なんか期待していたのかもしれない。
また、ここから何かがはじまるんじゃないかと思っていたのかもしれない。
馬鹿だな。私が新しい出会いをたくさん繰り返していたように又葉だって又葉の生活が私の知らないところで行われていて、
あの時とはもう違うんだ。
みんな前に進んでるんだ。
立ち止まってたのは私だけだったんだ。
「へぇー、そうなんだ。いいね。羨ましいなー。なんだろ、うちはガキっぽいから出来んのかな。彼氏いそうってモテそうって言われるんだけどなー。」
うわー、なんか口から勝手に言葉が出てくるよー。
しかも、彼氏おらんくせに自慢みたいな自意識過剰なこと言っちゃった。
笑ってくれてるけどドン引きだよね。
なんだか、いたたまれない気持ちになって、
「じゃあ、ばいばい。」
と手を振ると向こうもにこっと笑って。
「うん、ばいばい。」
と言ってくれた。
私はそれを聞いてから逃げるように戻っていった。
後ろをちらっと振り返るとまだ又葉はこっちを見ていて、びっくりして前に向き直してはや歩きになる。
「遅かったね。あれ?コップとストローだけ?飲み物は?」
席に戻ると未菜が私の手元を見て不思議そうに首をかしげる。
慌てすぎて飲み物をいれてくるのを忘れてしまったんだ。
すごい恥ずかしい人だ。
「あー、なんか飲みたい気分じゃ無くなったから後でまた取りに行くよ。」
「なんじゃそりゃ。まぁ優羽らしいけど。」
と言って笑うのは悟先輩だ。
こんなんで私らしいと言われる私っていったいなんなんだろうと思ってしまう。
そして、さっきあったことが頭によぎる。
あー、だめだめ。忘れよう。
あの時の願いも叶ったことだし、、、。
「あ、来たよ!」
自分の世界に入っていたところを未菜の明るい声によって現実の世界に戻される。
未菜が指をさす方を見た。
一瞬、ほんとに一瞬
周りの音がまったく聞こえなくなった。
時間の動きがスローモーションのように感じて、
彼の足音だけがやけに耳に響く。
う、、、そでしょ?
私の目線の先では、、、さっき会ったばかりの又葉がいた。
そして未菜を見て微笑みながら手を振る君に
動揺してる自分に動揺した。
う、、そだよね?
彼女って未菜?
彼氏って又葉のこと?
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