きみの見える景色には桜とわたしであってほしい。
暗い部屋の中、わたしは泣いていた。


彼女が振られてしまったことを、嬉しいと思ってしまった。


感情というものは、どうしても抑えられない。


わたしはひどい人間だ。


他人の不幸を喜ぶなんて、絶対にどうかしている。


果たして、彼はこんなわたしのことをどう思うだろうか。


そんなことをぐるぐる考えても、答えは一向に出ない。


わたしは、泣いた。


あの時の彼女みたいに。


自分自身を、嫌った。


大嫌いになった。


でも、もうひとつ。


たしかに、わかったことがある。


わたしは、彼をそれほどまでに好きだということ。


大好きだからゆえに、こんなにも自分を嫌ってしまうということ。


もしわたしが告白したら、断られるかもしれない。


そしたらきっと、いっぱい泣いて、友達が慰めてくれるだろう。


じゃあもし、このまま卒業してしまったら・・・?


きっと後悔ばかりで、一向に前に進めないだろう。


わたしなら、どっちを選ぶ?


本当に、このままでいいの?


カーテンから、淡いオレンジの色が漏れてきた。


君に片想いをして、何百回目の朝がきた。




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