きみの見える景色には桜とわたしであってほしい。
中学1年生のとき、わたしには好きなひとがいた。


同じ部活の、ちょっと女の子と一線を引いているような、クールな子。


どうにか振り向いて欲しくて、必死にがんばった。


でも、叶わなかった。


その子には最初から、彼女とかいうポジションにいるひとがいた。


びっくりした。


彼女がいることに、まあそれもそうなんだけど、それ以上に。


失恋したはずなのに、そんなに悲しくはなかったことに。


確かに、好きだったはずなのに。


心が抉れるような、涙が止まらないような、そんな気持ちにはならなかった。


今思えば、わたしの本当の恋はこのときすでに、はじまっていたのかもしれない。
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