きみの見える景色には桜とわたしであってほしい。
9月、彼は図書委員だということが、判明した。


いつもめんどくさがってやりたがらない委員会の仕事を、彼がやるというのにはとても驚いた。


「去年だったらわたしも図書委員だったのになぁ・・」


小さな後悔が、不意に口からこぼれた。


ハッ、と我に返って、首をブンブンと左右に振る。


前を向いていくと決めたんだ、しっかりしろ、わたし。


ポジティブ思考に変換する。


「まずは、本を借りに行こう!」


彼はまだ当番じゃない。


いつでも会いたい!と思うけれど、2クラス離れた彼にはそうそう会えるものでもない。


しかもわたしはそんなに馬鹿じゃない。


計算高い女子は苦手だけれど、今はそうならざるをえないのだ。


彼と会える時間を考えて、小さい脳みそで必死に考えた。


本を返却するときを狙って、わたしの計画は動き出した。
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