放課後の図書室で君と
めばえた気持ち
あの日から、私と君は図書室でよく話すようになった。
私の読んでいる本の話が主な話題だった。
そこに時々、君が面白い話を入れてきてくれる。
私は放課後のこの時間が大好きになっていた。
ある日、私が図書室に入った時、君は図書室にはいなかった。
だけど、他の図書委員の人もいない。
私は少し不思議に思ったものの、いつものように本を読み出した。
ガラッ
「お、来てたのか」
入り口に君の姿。
私の表情は自然とほころんだ。
「今日は遅かったね。何かあったの?」
「ああ。ちょっと呼び出し」
「先生?」
「まさか。これでも優等生だぜ」
「え」
「うわ‥‥‥お前、その反応は‥‥‥」
「あ、ごめん」
「おい、謝るなよ!」
ちょっとした軽口を叩きながら、君は私の席と向かい側の席に座った。