【短】片想いのはじまりは、
お互い連絡先を交換した私たちは、今度こそ別れに切り出した。
家まで送るって言われたけど、もう少し先の角を曲がれば家に着くということを告げると残念そうに項垂れて、
それに笑うと、子どもみたいに拗ねて、初めて男子に頭を触られた。
ぐしゃぐしゃになった髪は私の心のようだと思った。
だって、嬉しくて騒いでる。
「気ぃつけて帰れよー」
「すぐそこだから大丈夫だって何回言わせるの」
「だって春川さん女の子だし、俺心配」
「なにそれ。うん、ありがとう。じゃあね」
顔が赤くなる前に背を向けて歩き出す。
後ろから少し戸惑いをみせた声が聞こえて、笑みをこぼした。
君とこんなに普通に話せてることに感激をも感じてる。
好きと言えたらどんなに楽なのか。
そのチャンスは今度こそ訪れてくるのだろうか。
君を想う気持ちを再確認した今、私はいつか君に好きだと言いたい。
ううん、言うんだ。
──私の片想いはこれからが本番なんだ。
fine.