【短】片想いのはじまりは、



「長山くんは、なんで私の名前知ってるの?」



君を見て言った。



一瞬だけど、目を見開いたのを見た。


変な質問しちゃったかな。
でも、聞きたい。

なんで私の名前知ってるのか。



だって、一度も同じクラスになったことない。





「さあ、なんででしょー」



そう言っていたずらに笑う。



この笑顔こんな近くで見るなんて、頭がぐるぐるする。

心臓なんて口から飛び出そうだし。




「それ言うならさ、春川さんもじゃん?」


「へ?!」


「同じクラスになったことないじゃん。どうして?」




……。



ど、どうして?って私も『どうして?』なんですけど。



質問に質問重ねられちゃうし。


なんか気に食わない。
長山くんってこんな意地悪だったっけ?




もっと爽やかでとても優しそうな人だと思ってた。


友達だって言ってたし……。






「友達からよく長山くんのこと聞いてたから」




思いついた理由を言ったけど、これは嘘じゃない。事実。


そう当時私の友達も長山くんが好きだった。

話を聞けば私より先に恋をしていたみたいだし。


だから私はその子を応援しようと思った。



もちろん初めから告白するなんて考えてなかったし、好きでいるだけでよかったから、すんなり応援することが出来た。





その代わり、笑顔でいることにものすごく疲れを覚えた時間だったかな、今思えば。







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