放課後音楽室
腹が立つ。
そもそもは、相良くんとここで会うようになってからだ。ピアノの調子が定まらないのも、テスト前にいつもと違うことをして成績が落ちたのも、全部、全部……。

「なに? 原因は俺だみたいな顔してんの?」
「そっ……」
 
そんなことは言っていない。
そう言おうとする前に、顔に出ていたのだろう。
相良くんは、ふっと笑った。

「わかった。来なきゃいいんだろ? ここに」
「違……」
「コンクールも近いし、俺がいたら集中して練習できないだろうし」
「だから、違うから……」
「ウサギはさ」
 
ガタンと、相良くんが立ち上がったことでピアノ椅子がずれて音を立てた。
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