はちみつ、ちょっとだけ(完)


「今日はピアノ弾かないんですか?」


「えっと…んー聞きたいですか?
僕のピアノ、京香さんは。」


「それは…はい。もちろんです。
だって、ファンですから」


あえて一番のファン。とは言わないで。

きっとそこじゃないから。


「じゃあ、1曲だけ。」


そう言って そっと ピアノの椅子に座った。


ーポロン


優しく 暖かい いつもの 変わらない音色。


うん…大好きだ。


この音も 店も もちろん大好き。


でもやっぱり 嵐さんがすき。


嵐さんって名前しか知らない。
住んでるところも年齢も何も知らない。


お客と店員っていうそれ以上でも以下でもない関係。


それでも 好きで 好きになってしまった。

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