へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
本当はルキだけを呼び出しても良かったんだけど、メイベルもルキのことを気にかけてくれているから、結果も知りたいだろうし呼び出させてもらったわよ。
との校長先生の言葉でわかったのは、私とルキが寮を抜け出してまで会っていたことはどうやらバレていないみたいだ。
あぁ、良かった。
怒られるとばかり思っていたから、心の底から安心した。
「それでね、ルキ。私なりに調べた限りでは、もしかしたらあなたは、うんと遠くの町……もしくは国に住んでいたんじゃないかと思っているの」
「遠くの町って……じゃあルキは、このあたりに住んでいる人ではないってことですか?」
身を乗り出すようにして聞き返すと、校長先生は静かに頷いた。
「大都市マーグレーン街、その隣にあるパルーワ村、そのまた隣にある町、そのまた隣にある街であなたを知る人がいないか聞き込み調査をしてみたけれど、あなたを知る人は誰ひとりとしていなかったの」
だからもっともっと遠くの町や村、もしくは国を跨いで調査する必要があるかもしれない、と校長先生は真剣な眼差しで言っていた。
校長先生の視線を追うように、隣に座るルキを横目で見るとその横顔は申し訳なさそうにも見えたし、悲しそうにも見えた。