へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする


ライザは私からサビーナに視線を変えると「まだ見てなかったわ」と私の横を通り過ぎ、黒板へ向かって歩いて行った。



……ほっ。

サビーナが話題を逸らしてくれたおかげで、ライザから嫌味を言われずにすんだ。



エイミーとふたりして「ありがとう、サビーナ」と言ったけれど、颯爽と自分の席に戻っていくサビーナから返事はなかった。

言葉数も少なく、常に冷ややかに周りを見ているようなクールなサビーナから「どういたしまして」なんて言葉が返ってくるとは思ってもいないから、無視されても嫌な気分になるようなこともなかった。



「あっ、そういえばエイミー…黒板に順位が張り出されているって言ってたけど、見てみた?」

「うん、登校してすぐに見たよ。5匹の魔獣を全て撃ち落とした秒数が速い順に順位がつけられているんだけどね。それがビックリなのよ」



私はすかさず「なにが?」と聞き返してみたものの、エイミーから返ってきた答えは「見たらわかる」というものだった。

ライザが黒板の前に立っているその横で、自分の順位を確認することは嫌だったけれど。

エイミーが言った『ビックリすること』がどうしても気になって、ライザがいると知っていながら実技試験の順位を見に行くことにした。



……まぁ、見なくても私が最下位なことは変わらないだろうな。



ライザの隣に立って、黒板に貼られたA4サイズの順位表を見た。

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