へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする


ルキとふたりでクリームパスタを急いで口の中へかきこみ、早々に食事を済ませることができた私たちは一緒に3階の『第二実技室』へ向かった。

教室と変わらないほどの広さの第二実技室も、第一実技室と同様に魔法の使用が許される場所だ。



「あらぁ、ルキくんどこにいたのぉ?ずっと探してたんだからぁっ」



ガラリ、と木製の古びた引き戸を開けた瞬間、くるくるに巻いた長い金髪を揺らしながらカーラが駆け寄ってきた。

カーラは「探してたって?それはごめんごめん」と笑うルキの左腕に、大胆にも右腕を絡ませたりしている。



「ねぇねぇ、魔法のことでね、聞きたいことがあるのぉ〜」



第二実技室に入るやいなや、あっという間にルキを奪われてしまった私は、呆然としたままルキの背中を見つめた。



なんなのよ、カーラってば。

私のことはまるで空気みたいに無視しちゃって。

ルキと付き合っているわけでもないのに、馴れ馴れしくして。



「ちょっとちょっとメイベル、顔顔っ。顔が般若みたいになってるよ」

「もうっ、なってないってば!」



ふつふつと沸き上がる怒りを抑えることができないまま、エイミーの隣の席にドカッと腰をおろした。



「なになに〜?もしかしてケンカ?」



深いため息を洩らしながら机に顔を伏せたときに、左隣に座っているクラスのお調子者の男子、ローリー・リーヴに話かけられた。

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