へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
「今日は、これまでに何度も説明しましたが、おさらいのつもりで魔法の種類の勉強をしたいと思いまーすっ」
鼻につくような甘ったるい声にはっと顔をあげた。
腰まである長い赤茶色のウェーブがかった髪が綺麗な、ベアトリス先生を見た。
ベアトリス先生は24歳で学園では最年少の先生。
元モデルというだけあってスタイルもいい上に美人なんだ。
今日もその端正な顔はつけまつげやら、グレーのアイシャドウやら、真っ赤な口紅やら、ゴテゴテとカスタマイズされていて。
ベアトリス先生は、学年問わず男子から絶大な支持を得ているんだって。
私もベアトリス先生は可愛いなって思っていて、メイクをマネすることもあるんだ。
「魔法は大きくわけると5種類のタイプに分かれるってことは、みんなはもうよーくわかってるよね?」
魔法を使うにおいてそんな基本的なこと、この私でもさすがに知っている。
みんながはーい、と手をあげる中、私も周りに流されるようにひっそりと手をあげてみた。
「んー……じゃあメイベルちゃん、その5種類のタイプをひとつずつ説明してくれるかな?」
げっ。
よりによってなんで私を当てるんだ…。
みんなが手をあげてたから私もあげちゃっただけなのに。
私が遠慮がちに席を立つと、クラスメイトの視線が一斉に集まった。
でも魔法の5種類のタイプに至っては、13歳の頃から今まで繰り返し勉強してきたところ。
この問題なら、私にだってできると思う。