へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする


「まずひとつめは、目に見える範囲の物を動かすことができる転置魔法があります。軽い物ほど少ない魔力で簡単に動かせて、重い物ほどたくさんの魔力を消費してしまう魔法です」



これはライザがよく使う魔法のひとつで、私の頭にコップの水をかけたりするのもこの転置魔法だ。



軽い物を動かす場合に限り、比較的に難易度の低い魔法となっている。

私はリモコンやティッシュを取るときによく転置魔法を使うのだけれど、カサエル先生はその昔、30坪ほどの家を動かしたことがあるのだそう。



そしてふたつめは、形あるものの色を変えたり、そのものの形を変えたりできる変形魔法。



これは私がうまく使えない魔法のうちのひとつで、それなりの想像力を要するから苦手なんだ。

寮で枕を自分の分身に変えようとしたときも、失敗してしまったし。

以前に魔法の実技試験があったとき、消しゴムを変形魔法で赤いりんごの形に変えろというお題も大失敗に終わった。



それからみっつめは、身体能力を一時的に高めることができる増強魔法なんていうのもある。



例えば足を速くさせたりだとか、ジャンプ力をあげたりだとか、遠くの物を見えるようにしたりだとか、耳の聞こえを良くしたりすることができる。



足を極限に速くさせた状態だと瞬間移動ができたり。

ジャンプ力を極限に上げた状態だと空が飛べたり。

視力を極限に上げた状態だと未来が見えたり。

聴力を極限まで上げれば、心の声を聞くことができたり。

あとは魔法で強い念をこめて話かけると、暗示をかけることができたりなんかもする。



上級者になると、そんな使い方もできるのだ。



でもできないこともあるみたいで、テスト前に頭を良くしたりは残念ながらムリなんだって。

ほんとに残念だけど。

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