へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする


「神より与えられし力よ我が糧となれ。その力を今解放する」



賑やかな声がやまない中で、10メートル近く離れて向かい合うライザとルキの声が重なった。



「じゃあ……はじめっから全力でいくぞ」



ライザはルキに向かって右手を伸ばすと、手のひらから青い稲妻を放った。

稲妻はバリバリと耳が割れるような雷鳴を轟かせながら、ルキに飛んでいく。



「ルキっ‼危ないっ!早く防衛魔法を使わなきゃ!魔法で壁をつくって身を守るのよっ!」



ルキってば、ぼーっとしているけれど、まさか防衛魔法のつかい方を忘れてしまったなんてことはない?

あんなものを正面から受けてしまえば、きっとルキは感電……いや、黒焦げになって死んでしまう!



稲妻がルキの目前まで迫ったとき、クラスメイトたちの悲鳴がわっと上がった。

ルキが稲妻に飲み込まれたと、誰もが思ったその時。



「大丈夫だよ、メイベル。そのつもりだから」



間一髪のところで、ルキは分厚いガラス板のような壁を自身の前にぱっと一瞬で出現させた。

稲妻はルキに届く前に、バチバチと激しく音を立てながらガラスの壁にぶつかっていく。



まるで吸い込まれるように壁に向かう稲妻。

勢いのある光は、攻撃の手を緩めることはなく壁に突進を続けている。



ライザは高い魔力を放出し続けながらも、まだまだ疲れの色はなさそうだ。

ニヤリと余裕たっぷりにほくそ笑んでいるくらいなのだから。

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