へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする


「ふたりともすごい……。なんだかよくわからないけど、さっきから手の震えが止まらないよ」



隣からぽつりと呟かれたエイミーの声に、自分の両足も震えていることに気がついた。



「うん……私もだよエイミー。っていうか、ふたりの魔力が高すぎて頬がビリビリして痛い」



いつの間にか、私のすぐ隣にいたローリーも「俺も顔や身体が痺れるように痛い」と表情を強張らせていた。



「チッ……なかなかしぶとい野郎だな。あの壁をぶっ壊してやろうと思ってんのに、ヒビひとつ入らねぇ」



一方でライザは、高い魔力をぶつけておきながらも表情ひとつ変えないルキに苛立っているようだった。



稲妻を放ち続けている右手が、ちょっとずつ下にさがってきているようにも見える。

それに眉間に寄せられた深いシワ。

笑顔もすっかり消えてしまっていて、その横顔は遠くから見てもわかるほど苦しそう。



ルキはそんなライザを、魔法でつくったガラスの壁ごしに見ていた。

校内一の魔法使い、ライザの高い魔力を浴びながらも、眉ひとつ動かすこともなく。



私ならきっと10秒……いや、1秒たりともライザの魔力を受け止めるなんてことはできないというのに。

この勝負、もしかしたら先に魔力を使い果たしてしまうのはライザなんじゃないの……?

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