へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
一瞬、そんなことが頭を過ぎったけれど。
ライザの稲妻とルキの壁はぶつかり合ったまま、ほんの少しの変化もなく15分が経過した。
ライザの息が荒くなってきはじめたころ。
「ライザくん。こんな無意味なこと、もうそろそろ終わりにしないか」
ライザの右手から放たれる稲妻を、壁で受け止め続けていたルキが長い沈黙を破った。
「すごい…すごすぎるよ、ルキくん。ライザはゼェゼェいってるのに、ルキくんは息ひとつ乱れてない‼ルキくん、どんだけ魔力が高いのって感じじゃない⁉」
そんなふたりの対決を静かに見ていたエイミーは、ぴょんぴょん跳ねながら私の肩をバシバシ叩いてくる。
「ちょ、痛い。痛いってばエイミー」
「だってさっ、ライザがハァハァ言ってるのはじめてみたんだもんっ‼」
「確かにそうだけどね、ちょっと落ちつこうエイミー」
エイミーが騒ぎはじめたことで、静かだったクラスメイトたちも「いけー!」だの「負けるなー!」だの、再び声援を飛ばしはじめた。
ライザはトールボットを筆頭とした男子たちの、熱い声援を受けるものの、もう笑い返す余裕もないようで。
「もう終わりにしないかって……何だよお前。もしかして今更ビビッてんのかよ?このまま俺に押し切られるのが怖いのかよっ……‼」
ところどころで言葉を詰まらせ、肩で息をしながら苦しそうに叫んでいる。