へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
ライザはそんな疲労困憊な状態でも、稲妻の勢いは弱まるどころか、むしろ増すばかりなのが凄いところだ。
極限まで追い込まれた状態のはずなのに、これがライザの底力、というやつなのか。
「いや、ただ単に争いたくないだけだ。それにしてもライザくん……君は本当にすごいね。俺もちょっと疲れてきたよ」
ルキが心配だな…。
まだ笑っていられる余裕はあるようだけど、眉を寄せているその顔がなんだか苦しそう。
それにルキもだんだんと呼吸が乱れてきたのか、肩の揺れが小刻みになってきた。
「じゃあさっさと降参しろよなっ……‼」
ライザは肩で大きく呼吸をしながらも、ニヤリと口角をつりあげると、放たれる稲妻の威力を増大させた。
広い室内を揺るがすほどのより一層大きな雷鳴が響き、クラスメイトの女子たちから「キャーッ‼」と恐怖の声が上がった。
私もその中に混ざり、エイミーとほぼ同時に両耳を塞ぐ。
「あっ、見ろよ!転校生のバリアにヒビがっ‼ライザの稲妻に耐えられなくなってきてるぞ‼」
「えっ⁉ヒビ⁉」
トールボットの驚いた声に、ルキが魔法でつくったガラスの壁を見た。
「あっ……本当にヒビが‼ルキが危ないっ……!」
勢いを増した稲妻が激しくぶつかる箇所に、遠くから見てもわかるほどの大きな亀裂が入っていた。