へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
「ねぇねぇエイミー、この格好はどう?変かなぁ?」
翌朝、今日は休日だというのにいつもと同じ6時半に起床した私。
朝から脱衣場にある洗面台の前で、何度もくるりと回ってみては服を変え、また鏡の前で回ってみては服を変え。
そんなことを繰り返すこと20回。
「朝っぱらから何回やってんの?ルキくんとマーグレーンに行くのは調査のためなんでしょ?デートじゃないんでしょ〜?」
「デートじゃないよ‼デートじゃないけどさ……でもっ、ほらっ!身だしなみは大事でしょ?」
「だからってアイシャドウを普段しないようなピンクにする?それにチークの色やリップの色もピンクだしさぁ。明らかに男ウケを意識した乙女メイクじゃん?」
洗面台の前に立つ私の真横で歯磨きをするエイミーは、泡だらけの口で「はい、完全にデート気分」と呆れたように言ってきた。
「うぅ……。だって仕方ないじゃん。ルキなんだもん…。少しでも可愛いって思われたいじゃんかっ」
ピンク色の唇をムッと尖らせ、鏡ごしにうがいをしているエイミーを睨みつけた。
「はいはい、可愛いから大丈夫だよ。でもしいて言えば、薄ピンク色のロングワンピースよりかは白色のワンピースの方がいいんじゃない?清楚な雰囲気になっていいと思うよ」
笑いながら脱衣場から出て行ったエイミーは、なんだかんだで恋する私を応援してくれているようだった。