へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
自分の胸の鼓動がうるさく耳を抜ける。
ルキは右手の人差し指で頭を掻きながら「そうだなぁ…」と困ったような顔で笑っている。
ルキの口から放たれる言葉が怖くて、やっぱりこんなこと言わなければ良かったかな、と顔を俯ける。
私の発言でルキを困らせてしまったのかな、と思うとじわじわ後悔の念が沸きあがってきた。
「ごめん……ルキ。こんなこと言われても困るよね。さっき私が言ったことは忘れてっ‼」
森の方向から木々が風にさざめく音に混ざり、ルキは首を横に振りながら「忘れないよ」とやけに真剣な声だった。
「メイベルは俺にとって、守ってあげたい人。何があっても守ってあげなきゃなって思えるような存在だよ」
その強い眼差しはほんの少しも逸らされることはなく私へ注がれている。
ということは、もしかしてルキも私のことを好きでいてくれている?
そうでなきゃ、守ってあげたいだなんて思わないよね……?
えっ、これってまさか両思いなの?
そんなことが頭を過ぎった途端、顔が焼けるように熱くなってくる。
歓喜のあまりに言葉を発せないでいると、ルキに「さぁ帰ろう」と促され、ルキの隣を並んで歩き出した。