へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする


2段ベッドの上から、エイミーの怒号が部屋を満たしたときのことだ。



木製のドアがドンドンドン、と何者かに力強くノックされた。



「ちょっとあなた達、とっくに消灯時間は過ぎてるけど何やってるのよ‼いつまでも喋ってないで寝なさいよ!」



ドアの奥からエリノア寮長のエイミーにも勝る怒号が響きわたった。



「すみません、すぐ寝ます!」



と声を揃えた私とエイミーの会話はそこで終わってしまったけど、その後もしばらく目を瞑ることができなかった。



エイミーが言っていたとおり、結局のところはルキが私のことをどう思っているのかが考えても考えてもわからない。



守ってあげたいとか思わせぶりなことを言っておきながら、本当は恋愛感情なんかなくて、私の告白をそれとなく交わしたんじゃないの?

いや、それにしては何があっても守りたいというのはさすがに、好きな人に対してじゃなければ抱かない感情なんじゃないの?



エイミーの寝息が聞こえる中で、枕元で丸くなっているピーちゃんが私を見ながら「ピー…?」と不安げな声で鳴いた。

ピーちゃんなりに「何か悩んでいるの?」と、私を心配してくれているんだろうな。



「ピーちゃんは…ルキの魔力でつくられた子だから、ルキの気持ちがわかったりするのかな?ルキが私のことを、本当はどう思っているのかって…」



レックスさんがつくりだした魔獣のように、ピーちゃんも言葉を話せればよかったのに。

ピーちゃんはルキの一部なのだから、きっと私よりもルキのことを知っているんだろうな。

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