へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
レックスさんは16歳になり魔獣をつくることを覚え、毎日のように魔獣をつくりはじめたと校長先生はため息を交じらせながら語った。
「私でさえも、ヒヨコくらいの魔獣をつくると5日ほどは倦怠感が消えないものなの。それくらい魔獣をつくるには、膨大な魔力を消費するからそのぶん疲れるのよね」
「そうなんですか…。私はまだ魔獣をつくれるほどの魔力もなければ技量もないからわからないけど…」
「魔獣をつくる魔法は、特に魔力を消耗してしまうの。その理由は、魔獣はまるで生き物のように自由に動いたり、魔法をつかえたりするからよ。それなのにレックスたら、毎日毎日休まず魔獣を1体ずつつくるの。たまらず止めたわ」
そろそろ倒れてしまうから辞めなさい、と。
魔力をつかえばつかうほど、身体も疲れてしまうのだからと、校長先生は口うるさく注意をしていたらしい。
それでもレックスさんは校長先生の静止をふりきり、魔獣をつくっては魔獣の持つ力を試すために、森に出かけては動物に襲わせたりしていた。
そんなことを繰り返すうちに、標的が動物から人へ移行しはじめたと聞いた私は、思わず「それはヒドイ‼」と声をあげてしまった。
「レックスが魔獣の力を試すためにターゲットに選んだのは、主にレックスの同級生の子たちばかりだったのよ」
レックスさんがつくった魔獣に魔法で攻撃をしかけられた生徒が当時は跡を絶たなかった、と校長先生は教えてくれた。